韓国南西部の珍島沖で沈没したフェリー「セウォル号」の救助作業が難航を重ねている。強風と高波など気象条件が悪く、軍民の潜水士を総動員した救助作業は当初の期待通りの成果が上がっていない。
政府発表の不手際も続き、2014年4月27日には首相が引責辞任することを発表した。その一方で検察など合同捜査本部は、船会社などへの捜査のスピードを上げている。
悲しみと怒りに包まれた韓国、米大統領訪問や国内経済にも影響
4月16日に起きた沈没事故。犠牲者、失踪者数が合わせて300人を超える大惨事となった。
犠牲者の大半が高校生の修学旅行生だったこと、船員などの対応が悪くこれが多くの犠牲者、失踪者を出す原因となったこと、政府の対応が後手後手に回った印象を与えたことなどで、韓国内は大きな悲しみと怒りに包まれている。
「これほど静かな米大統領の訪問も初めてだった」。4月25日から1泊2日の日程で韓国を訪問したバラク・オバマ大統領。米大統領の訪韓となれば歓迎ムード一色となるが、今回は、静かで話題になることもあまりなかった。
韓国全体が喪に服しているのだ。首脳会談でも、まず、両首脳が黙祷をした。
経済に目を転じると、消費にも少なからぬ影響が出ている。企業のイベントや大規模な会食などのキャンセルが相次いでいる。生活品以外の消費を手控える動きもある。また、海外からの旅行客にも悪影響が出ているという。
政府は、何よりも事故から1週間以上経過してもなお100人以上いる失踪者の捜索作業に全力を傾けている。その一方で、事故原因の究明作業も進んでいる。
その中で注目を集めているのが、問題のフェリー運航会社のことだ。メディアではさまざまな疑惑が連日大きく報じられている。
フェリー運航会社に数々の疑惑
事故が大惨事に発展した原因についてメディアは当初、真っ先に逃げた船長や船員の行動に強い批判を浴びせかけた。その後、日本から購入したフェリーを改造したことの妥当性、積荷をきちんと固定していなかったことへの疑問、フェリー船が故障していたにもかかわらず修理をしていなかったのではないかという疑問、船員教育の不備など数々の疑惑が出てきた。
これが「この会社はどんな会社なのか」という疑問に発展した。すると、次々と新たな疑惑が出てきたのだ。