マット安川 7月11日の参議院選挙で分かったのは、中身のない見かけ倒しの政策は、もはや国民には通用しない、ということ。
今回のゲスト・浅川博忠さんが指摘した通り、ねじれの発生は政権の敗北ではある。しかし、これを機にいよいよ地に足をつけたしっかりした政治が実現されるのであれば、と期待できなくもない。
与野党ともに成熟し、ねじれ現象のマイナスを最小限に食い止めよ
政治評論家。テレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)など、著書多数
(撮影・前田せいめい)
浅川 参議院選挙の結果は、予想通りねじれになりました。問題はこれからです。ねじれ現象は国民にとっては非常に不幸な状態です。
与党と野党がともに謙虚に成熟した政党として、国民のためにどう対応すればいいか、ねじれで生じるマイナスをいかに最小限に食い止めるかという知恵を出さなければいけません。
ねじれをこれ幸いと、意地の張り合いや、重箱の隅をつつき合うようなネガティブな抗争劇を続ければ、国民は不幸のどん底に陥ります。
今の政治には創造力が欠けています。自分の保身を図るためにネガティブな行動を取る。それは政党対政党もそうですし、党内の権力闘争でもそうです。民主党の菅(直人)グループと小沢(一郎)グループはまさしく身内の戦いですね。
去年(2009年)9月に16年ぶりに政権交代がなされて、本来ならそんなことをしている余裕はなく、いかに国民のための政治をやるかに最大のエネルギーを注がなければいけないのに、党内抗争劇というのでは情けない。
これでは自民党と全く変わらないということになります。
選挙結果の責任についても、やはり保身が絡んでくるわけです。民主党が負けたというのは歴然とした事実ですから、責任を取る人が出てこなければおかしい。
しかし、代表も、幹事長も、選対委員長も責任を取らない。菅さんは本来の責任論というものを完全に隠している。結局、自分の退陣につながるという保身から発想しているわけです。1人責任者を出すと、それがドミノ現象を起こして最後は菅さんの責任だとなるからです。