今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(3月23日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、昨年に台湾と中国が結んだ「サービス貿易協定」をめぐって台湾で発生した学生の立法院占拠問題を取り上げたほか、「河野談話」の検証に関連する自民党・萩生田(光一)総裁特別補佐の発言や、大阪市で23日に投開票された出直し市長選の結果などについて解説した。
中台サービス貿易協定をめぐる混乱は日中平和友好条約のツケでもある
中山 中国が台湾と互いの市場開放に向けて昨年調印した「サービス貿易協定」の承認を阻止するため、台湾の学生らが18日から立法院(国会)の議場を占拠していると伝えられました。
リスナーの方からも意見が届いていますが、この協定の問題は、例えば中国の起業家はビザの更新が無制限に行えるなど、中国が一方的に優遇される条項が多数含まれていること、さらに中国人の長期的な台湾移住が可能になるため、台湾の中国編入の流れが強まる懸念なども指摘されています。
関係者に問い合わせたところ、台湾の立法院側が協定の中身をよく精査せずに調印してしまったという話を耳にしました。もしそれが事実だとしたら、台湾の政権与党はしっかりとその原因究明と対策にあたるべきです。
学生たちの占拠は暴力的なものではなく、どちらかといえば座り込みに近いそうですが、「サービス貿易協定」が台湾国内にこれほどまでに大きな影響を及ぼしているのは事実ですから。
いずれにせよ、太平洋の第1列島線や第2列島線を含めたアジア諸国の近海エリアは中国にとって大きく利害が絡んでおり、今回の協定の行方次第では本当に中国が台湾を侵食することにもなりかねません。自由主義国・台湾と共通の価値観を有する日本も、危機感を持って注視する必要があります。
また、この問題は1978年に日中が締結した日中平和友好条約の「ツケ」でもあると私は思います。当時の日本は、米国に先んじるかたちで共産主義国の中国と国交を樹立し、同じ自由主義を標榜する台湾との国交を通告もなく断絶しました。
そもそも中華人民共和国が建国したのは終戦から4年後の1949年であり、日本が中国と戦争をした事実はなく、戦争をしたことのない国と平和条約を結ぶことがおかしいわけです。この歴史上の誤った選択と、今起きている台中の問題は無関係ではない気がします。