1997年に改定され今日も引き続き用いられている「日米防衛協力のための指針」を17年ぶりに見直すということで、日米実務者間の会合が、ホノルル郊外の太平洋海兵隊司令部、それに太平洋軍司令部がある海兵隊キャンプ・スミスで開催された。
この会合にはアメリカ軍からも海軍、陸軍、空軍そして海兵隊からも現役将校が参加し、防衛省自衛隊の実務担当者たちと意見交換を行った。
ただし、すでに会合以前から言われていたように、日米間には対中戦略(というよりは作戦レベルも含まれる)での基本姿勢に隔たりがあり、その溝を埋めて日本側の思惑を実現させるのはなかなか容易ではないようである。
1997年版ガイドラインでは軍事行動に消極的だった日本
1997年に改定された「日米防衛協力のための指針」すなわち現行ガイドラインでは、日本側が“軍事的要素”を極力排除しようとした消極的態度が強かった。
例えば、英語バージョンでは「情報と諜報の共有(information and intelligence sharing)」という部分の日本語バージョン(外務省作成和文正文)は単に「情報交換」となっており、軍事的意味合いが強い「諜報(intelligence)」という語は排除されている。この部分以外にも合わせて16回用いられている「諜報」という言葉は、日本語バージョンでは全て無視されている。
また、日本側にも米国側にも行動責任がある「双務的(bilateral)」という語は、英語バージョンでは45箇所も登場するのだが、和文バージョンでは全く使われていない。
このような意図的な単語の削除は、日本外務防衛当局が積極的に共同防衛の任に当たる姿勢を煙にまこうとする軍事的消極態度の表れであったと考えられる。