米アマゾン・ドットコムが自社の映像配信サービス用の専用端末(STB=セットトップボックス)をこの3月にも発売するとRe/codeなどの米メディアが伝えている。

 アマゾンが「キンドルTV」とも呼ばれる、テレビにつないで映画などを楽しめる自社ブランドのSTBを開発しているという噂は以前からあった。昨年の米オールシングスDの報道によると、同社は、クリスマス商戦の発売に向けて同端末の開発に力を入れていた。だが、製品の出来栄えが良くなかったため、発売時期を2014年春に延期することにしたという。

自社端末で映像配信サービスを拡充

アマゾン、来年スマートフォン発売か シティ予測

専用端末を顧客に提供し、自社コンテンツの露出を増やす作戦か〔AFPBB News

 アマゾンは「アマゾン・インスタント・ビデオ」という映画・テレビ番組の配信サービスを提供しており、このサービスは昨年11月に日本でも始まった。

 これは、利用者が映画やテレビ番組といった動画コンテンツを1本単位で購入、あるいはレンタルし、その場でダウンロードしたり、ストリーミング再生して楽しめるというもの。

 このサービスは、パソコンや、アマゾンのタブレット端末「キンドル・ファイア」シリーズ、無料で配布しているiOSアプリをダウンロードしたアイパッドやアイフォーンで利用できる。

 だが、動画を大画面テレビで見たいという場合は、サービスに対応したハードウエア(サムスンやLGのテレビ、ソニーやマイクロソフトのゲーム機、ロクのSTBなど)が必要となる。

 しかしこうした他社製ハードウエアでは、アマゾンのサービスはその中に数多くある映像配信サービスの1つという位置付けになる。そこでアマゾンは、米アップルの「Apple TV」のように専用端末を顧客に提供することで、自社コンテンツの露出を増やしたいと考えている。

英国の映像配信サービスがアマゾンブランドに

 アマゾンの映像配信サービスについてはもう1つ興味深い動きがあった。同社は2月22日に、英国の商品配送優遇プログラム「アマゾン・プライム」と映像配信サービスを統合すると発表した

 同社は2011年に、映画ネット配信とDVDレンタルサービスの企業、英ラブフィルム・インターナショナル(LOVEFiLM International)を買収した。それ以降アマゾンは英国でラブフィルムのブランド名でサービスを提供してきたが、今後はその映像配信サービスを「プライム・インスタント・ビデオ」に改称するという。