週刊NY生活 2014年1月11日473号

 出版から70年を経た今も世界で愛される『星の王子さま』。その原本を公開する「ザ・リトル・プリンス:ニューヨーク・ストーリー」展が24日(金)からモーガン図書館&美術館(マジソン街225番地、36丁目角)で始まる。

Antoine de Saint-Exupery (1900-1944) The Little Prince New York: Reynal & Hitchcock, 1943 The Morgan Library & Museum, New York Photography by Graham S. Haber, 2013

 フランス人作家サンテグジュペリは、第二次世界大戦中にニューヨークに亡命して同書を執筆した。初版が出たのもニューヨークだった。

 同展では1968年に同図書館に寄贈された全原稿140枚から選んだ25枚を中心に、初版本や作家の遺品や手紙・写真などを公開する。サンテグジュペリは原稿を友人に渡して偵察操縦士として戦線に復帰し、行方不明となった。

未発表のペン画なども

 サンテグジュペリは、亡命中のニューヨークで約2年を費やして『星の王子さま』をフランス語で書いた。

 これが英語に訳されて1943年4月6日にニューヨークの出版社レナール&ヒッチコック社から初めて世に送り出されたことは意外と知られていない。

 再び戦場に戻ることを決めたサンテグジュペリは、ある日、友人のシルビア・ハミルトンの玄関先に軍服で現れた。

 「申し分のないものを渡そう。でもこれは僕の持っているすべてだ」。そう言うと、くちゃくちゃの茶封筒をテーブルの上に放り投げた。『星の王子さま』全原稿140ページとデッサン。この茶封筒を1968年にモーガンライブラリーが入手し、今回の展示に至った。