中心部では100平米で3億円以上

 今回は首都である北京について考えてみたい。北京っ子は場所を言う際に、「3環の内側」などといった表現をする。これは東京に環状7号線や8号線があるように、北京にも環状線が走っているからだ。内側から2環、3環、4環、5環と並び、現在は7環まで開通している。ただ、7環は北京市の隣の河北省を走っており、北京と言うには離れすぎている。

 北京っ子は5環の内側が北京だと思っている。ただ、渋滞がひどい北京では、5環周辺でも中心街に出るのに2時間程度かかる。5環まで行けば、大変に不便である。

 北京は「明」の都であり、その当時に都市の骨格が作られたために、日本の平城京や平安京のように道路が直交している。そのために、環状線は円形と言うより四角形に近い形をしている。

 ここで、環状線を正方形と考えて、一辺の長さが2環は6キロメートル、3環は12キロメートル、4環は18キロメートル、5環は28キロメートルと仮定しよう。そうすると、5環の内側の面積は784平方キロメートルになる。東京の区部の面積が622平方キロメートルだから、5環の内側の面積は東京の区部にほぼ等しい。なお、現在、北京の人口は約2000万人であるが、一昔前までは約1000万人であった。

 先年末に北京に行って不動産価格を聞いて回ったが、不動産価格はそれまで聞いていた以上に高騰していた。その状況は1980年代末の日本を大きく上回る。

 100平方メートル程度のマンションの価格は、東西南北で若干の違いはあるものの、2環の内側ならば1戸が2000万元(1元を16円として約3億2000万円)以上するという。3000万元、4000万元と言われても驚かないと聞いた。2環と3環の間で1000万元、3環と4環の間は500万元、4環と5環の間でも300万元程度はする。