2013年6月に産業能率大学が実施した新入社員向け海外志向調査によると、「どんな国・地域でも働きたい」と回答した割合が29.5%と、3年前の調査に比べ2.5ポイント増加しました。

海外志向の二極化

 その一方で、「働きたいとは思わない」は前回に比べ9.3ポイントも増え、58.3%に達しました。図表からも明らかなように、3年ごとに調査を実施する度に海外志向の二極化が進んでいることが分かります(図表1参照)。

 「どんな国・地域でも働きたい」と回答した人の理由としては、「日本ではできない経験を積みたいから」(74.0%)や「自分自身の視野を拡げたいから」(65.6%)などが上位に挙げられています。

 対して、「働きたいとは思わない」人の場合は、「自分の語学力に自信がないから」(65.2%)「海外勤務は生活面で不安だから」(50.4%)などが主な理由となっています。

 語学(英語)レベルが低かったり、海外生活を経験していなかったりすることが内向き志向の原因とも言える結果となっています(図表2参照)。

アジアの大学にも後れを取るグローバル化

 当調査とときを同じくして2013年5月に政府の教育再生実行会議がまとめた提言では、日本の大学等のグローバル化の遅れを「危機的な状況にある」とし、例えば以下のような数値目標を掲げた積極的な政策を盛り込んでいます。

●スーパーグローバル大学事業として、今後10年間で世界大学ランキングトップ100に10校以上をランクインさせるなど、国際的存在感を高める

英調査会社クアクアレリ・シモンズ(QS)のランキングでは、トップ100に入った日本の大学は6校だが、最上位の東京大学は毎年順位を下げ続け、シンガポール国立大学や香港大学などのアジアの大学にも抜かれて32位。一方、英出版社のタイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)によるランキングで は、トップ100位に入る日本の大学は東京大学と京都大学のみである。