フィリピン人の英語能力の高さと、人件費の安さを活用し、短期間に安価な費用で英語能力を向上させる。それが「リバースエデュケーション(教育の逆転現象)」だ。
前回の記事に続き、この言葉の提唱者であり、実際にフィリピン・セブ島で日本人向け英語学校「サウスピーク」を起業した柴田浩幸さん(33歳)に、どうすれば英語が苦手な日本人ビジネスパーソンが、リバースエデュケーションを活用して英語能力を向上させることができるのかお聞きしたので、ご紹介したい。
フィリピン人の訛りを気にする前に、自分の英語レベルを省みてほしい
――リバースエデュケーションの基本的な考え方を教えて下さい。
柴田 従来の留学とは、途上国の人が先進国の人に教えを乞うことを指していました。しかし、フィリピン留学ではそれが逆転します。
発展途上国の物価や人件費の安さを利用して現地で集中的に教育を受けます。つまり、先進国の人が途上国の人に教えを乞うことになります。私はこれを「リバースエデュケーション」と名づけました。
私自身が英語を習得するのにかなり多くのお金と時間をかけた経験を持っており、他の日本人の皆さんにはもっと効率よく英語を習得してもらいたいと考えて、ここフィリピン・セブ島で日本人向け英語学校を開校した次第です。
リバースエデュケーションの最大の効果は、まずは安価であることです。フィリピン人の人件費は日本人の10分の1程度。ですから、講師1人と生徒1人というマンツーマン教育が可能になるのです。
例えば、生徒の英語の発音を、マンツーマンで講師が確認して、生徒が望む程度の厳格さでチェックし、それを修正していくということが可能になります。
一方、米国やカナダなど先進国への留学の場合には、通常は英語講師1人に生徒10~15人程度でクラスを構成することが一般的です。
講師の話す英語を聞いて、生徒同士で英会話の練習をします。この状態では生徒の発音チェックが困難なことはお分かりいただけると思います。先進国への留学でマンツーマンの発音矯正を行うとすると1時間で5000~1万円程度の費用になります。
――フィリピン人講師の英語の訛りは問題にはならないでしょうか。
柴田 フィリピンの元々の言語は、マニラ近辺ならタガログ語、セブ島ならセブアノ語など、地域によって異なっています。そのため英語が事実上の公用語となっています。米国統治の影響もあり、フィリピンの学校教育はほとんどが英語で行われています。新聞も、テレビも、町中の看板も、ほとんどが英語表記です。