これまで、石油に変わり得るエネルギーを考えるときには、ディーゼルや航空燃料そして化学製品の原料としてのバイオエネルギー(バイオ燃料)を考える必要があるという観点から主に海外の動向をお伝えしてきた。

 また、前回の「世界有数の森林資源を利用していない日本」では、スウェーデン、フィンランドなど先進国で森林面積比率が日本と同様に高い国(67%以上)、またチリのように山がちな国でも林業は十分に機能していることを述べた。

海外林業国と日本の木材価格差はさほど大きくない

 それでは、世界の木材価格はどの程度なのであろうか。下図はブラジル・フィブリア社の調査したパルプの製造価格である(和訳は著者)。

 この図では木材の価格とその他価格に分けて記載してある(図の濃い緑が木材価格)。ブラジル(図ではフィブリア社で表示)、チリが105~129ドル/トンであり、他国に比べて競争力があることを示している。他の国々は概ね200~250ドル/トンである。

 一方、日本のスギの価格は1万2300円/m3となっている(平成23年度、林野庁)。ヒノキはこの2倍ほどの価格であるが、エネルギーの原料としてはスギもヒノキも同等であるのでスギで代表する。

 容積重(1m3あたりの重さ)を0.38トンとすると、1万2300円÷0.38≒3万2000円/トンである。一方、200~250ドル/トンは、1ドル≒100円とすれば、2万~2万5000円/トンである。

 すなわち、それほど大きな差ではない。なぜ日本の林業が衰退しているのかは価格のみが原因ではなさそうであるが、それについての考察は専門家に任せよう。