北米報知 2013年11月7日46号

 秋の味覚として当地日系社会の話題となる松茸が豊作を迎えた。地元日系関連の食品店などでも大量の松茸を見ることができる。秋の伝統アクティビティーとして親しまれ続けている松茸狩りは、ノースウエストの日系社会とは切り離すことはできない自然の味覚探訪だ。

豊作の松茸を前に笑顔のアランさん(左)、マイク・ヤマグチさん兄弟。写真提供:マイク・ヤマグチ

 早朝にシアトルを出発。レイニエ山方面、カスケードの山奥へ、あるいはオリンピック半島のシェルトン方面へ――。東西南北、行き先は決して明かされない。「秘密の場所」は、家族のみに伝えられることが多い。

 各年の収穫は天候に左右される。乾燥の度合い、気温や雨量。松茸狩り愛好家は夏の終わりから一喜一憂の日々を送る。豊作の年には、トレイルの道脇や道路から目の届く位置に生えていることも多い。

 日系社会での盛り上がりは本紙アーカイブからも実感できる。

 シェルトン方面へ向かう日系人の車がシアトルのフェリー乗り場に列を作る様子や、日本町の中心地に展示された松茸コンテストの大物松茸、一世高齢者が松茸狩りで山に残されてしまった事件など、毎秋の紙面を彩ってきた。

 松茸と同型、同色きのこのむやみな採取と放置、ゴミの扱い、山道での駐車マナーなどを警告する文面も掲載された。

 近年もさまざまな人々が松茸狩りに出向くようになった。根こそぎ取られ、点在するのは松茸が生えていた跡のみという場所も実際には多い。