11月15日に開かれた経済財政諮問会議において、安倍晋三総理は「新たな国民負担につながる措置は厳に慎まなければならない」として、2014年4月に改定される診療報酬の引き上げは困難としました。

 会議に参加した民間議員は、財政再建に向けて診療報酬の抑制と薬価のマイナス改定を提言しています。

医療機関の3分の1は赤字という現状

 これに対し、日本医師会の横倉義武会長は「(首相は)いつもと言っていることが違う」と記者会見で困惑の意を表明しています。

 2014年4月から消費税が3%引き上げられるのに伴い、消費税が非課税の医療費は消費税負担増加分として少なくとも1.36%は引き上げられることが既定路線でした。

 麻生太郎財務大臣は、診療報酬の引き上げは歳出増になるとして、値上げできないと述べています。確かに診療報酬を引き上げると国の医療機関への支払いも増加します。

 しかし医療機関が支払う消費税が3%増加するのに診療報酬を据え置きにするのは、医療機関から消費税増税分の収入を財務省が分捕るという話に他なりません(利用者が窓口で支払う医療費に消費税は発生しませんが、医療機関が薬や医療機器などを仕入れたりする代金、消耗品購入や外注費用には、全て消費税が課税されています)。

 安倍総理は引き上げ見送りの理由として「社会保障の歳出合理化、効率化に最大限取り組んでいく必要がある」と述べています。要するに、「単価を強制的に引き下げることで医療の合理化・効率化を促す」という意図なのでしょう。