『中山泰秀のやすトラダムス』(10月27日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、衆議院の特別委員会で審議入りした国家安全保障会議(日本版NSC)や特定秘密保護法案について取り上げ、その現状や課題、今後の展望などについて語った。

「4大臣会合」や「国家安全保障局」を柱とする日本版NSCが審議入り

中山 政府の外交・安全保障政策の司令塔となる国家安全保障会議、いわゆる日本版NSCの設置法案が、衆議院の特別委員会で実質審議入りしました。安倍政権が参院選後の臨時国会で成立を目指す日本版NSCとは一体どういうものか、まずはその解説をしたいと思います。

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10月25日の衆議院本会議で、国家安全保障会議を創設するための法案の趣旨説明と質疑が行われた〔AFPBB News

 端的に言うと、外交や安全保障に関する情報収集や分析の態勢を強化し、首相が少人数の関係閣僚と機動的な議論、迅速な意思決定を行うことを目指す組織機構です。

 現在も主に国防について議論する「安全保障会議」が存在しますが、そこで問題となっている各省庁による縦割りを打破し、情報分析機能をより高めることを目的としています。

 日本版NSCのモデルは、米国のNSC(National Security Council、国家安全保障会議)です。そこでは大統領のもと、国務長官や国防長官といった外交、国防のトップや、大統領補佐などの関係閣僚が集まり、対外政策に関する戦略や対応が一元的に議論されています。

 我が国では首相と官房長官、外務大臣、防衛大臣の4人によるコンパクトな機構で月1~2回会合を開き、官邸主導で外交・安保政策を立案。

 テロや災害などの緊急事態では状況に応じて参集する閣僚をあらかじめ指定するほか、事務局として内閣官房に「国家安全保障局」を置き、必要な情報提供を関係省庁に義務づけ、各省庁が情報を独占して共有が進まないなどの弊害を打破することを目指しています。

「知識」は処罰の対象にならない特定秘密保護法案の不思議

 日本版NSCの審議と同時に、機密情報を漏洩した公務員らへの罰則を強化などした「特定秘密保護法案」の議論も進められます。

 審議の行方に注目が集まりますが、民主主義国家の日本において秘密というものをどう定義づけるのか、秘密にはどんな情報が含まれるのか、議論を重ねて結論を出すべきです。

 現時点で特定秘密に定められている情報の数は41万件あるとされています。驚くべき数字かもしれませんが、他国の攻撃に対する迎撃ミサイルの関連情報など、既に国防機密となっているものも含まれており、それらが保護されるのは当然でしょう。

 問題は、国民に開示すべき情報までもが秘密として指定されることです。また、一言で秘密と言ってもその意味や解釈は人によって異なるため、「究極の秘密」とは何なのかを明らかにしておく必要がある。