週刊NY生活 2013年8月17日455号

 人種差別的政策であるとして、ニューヨーク市とNYPDに対し集団訴訟が起きていたストップ&フリスク(路上での呼び止めと身体検査)政策は人種差別で憲法違反であるとの判決が12日、マンハッタンの連邦地方裁判所で下された。

 シーラ・シェインディン判事は同政策を「間接的な人種プロファイリング。特定の人種グループを標的にしており、膨大な数の黒人とヒスパニック系を不当かつ差別的に扱っている」と断じ、判決の中で連邦による監督機関を設けるように指示、また、政策の変更を命じた。

 一方、ストップ&フリスク政策をレイモンド・ケリーNYPD本部長と推進してきたマイケル・ブルームバーグ市長は同日、「1990年にはニューヨーク市では一日に平均6件以上の殺人が起きていたが、現在は1件以下にまで改善した。判事は現実社会の犯罪の実情を見ていない」と同政策が殺人率と犯罪率低下に大きく貢献してきたとし、控訴して市の正当性を改めて問うと明言した。

 人権活動家や黒人支援団体、民主党のニューヨーク市長選候補者たちは今回の判決を評価、クリスティン・クィン市議会議長は、「NYPDの監察官は『量』ではなく『質』に焦点を合わせた合憲的な同政策を進めるための見直しと指導をするだろう。市長としてわたしは、有色コミュニティーと警察がより強固な関係を構築できるように、連邦監督官とともに努力していきたい」と語った。

注:NYPD=ニューヨーク市警

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