鶏の名産地で親子丼を食べたが、実はその鶏は地元産ではなかった――。
今や様々な地域に、その場所ならではの「ご当地グルメ」がある。しかし、それらのグルメも、よくよく話を聞くと「産地の食材が使われていない」ケースも少なくない。「ご当地グルメ=地元の食材で作られたもの」とは限らない現状があるのだ。
そのような状況の中で“地産地消”にこだわった地元料理「新・ご当地グルメ」を作り、ヒットを飛ばし続けるプロデューサーがいる。リクルートのヒロ中田氏だ。中田氏が在籍するリクルートの地域振興機関じゃらんリサーチセンターは、変わる地域の力になる、をスローガンに観光にまつわる調査・研究を行っている。
快進撃を続ける「新・ご当地グルメ」
中田氏が「新・ご当地グルメ」の開発に乗り出したのは、2005年。北海道美瑛町の町おこしの一環として、「美瑛カレーうどん」をプロデュースしたのが始まりだった。美瑛産の小麦と豚肉、野菜を使い、つけ麺スタイルで食すこの新グルメは、瞬く間に美瑛の名物として知れわたり、2005年7月の誕生から、7年3カ月で20万食を達成するほどの人気料理となった。
それ以来、中田氏は「新・ご当地グルメ」プロデューサーとして、40を超える料理を開発。北は北海道から、南は沖縄まで、様々な地域に「新しい地元の味」を生んだ。それらの地域の中には、1年で1万食以上の「新・ご当地グルメ」を販売する店舗もあるという。
さらに、毎年夏には、全国の「新・ご当地グルメ」が集い、その頂点を決める「新・ご当地グルメグランプリ」を開催。今年は7月6~7日に北海道芽室町で行われ、来場者約3万6000人、食数3万4534食(過去最大)を記録した。「 新・ご当地グルメ」は、“まちおこし”の有力な手段として、大きな注目を集めている。
一体、これらのヒットの裏には、どのような工夫が施されているのだろうか? そこには「地産地消」だけではない、様々なこだわりがあった。