長期運営を見越した売り上げシステムの構築
世の中のご当地グルメのほとんどは、地方自治体の税金等によって開発される。だが、税金の助けを得られるのは初年度だけで、2年目以降は、パンフレットやポスターを作るにも、自分たちでお金をやりくりしなければならない。
ロングセラーを目指す「新・ご当地グルメ」において、この部分の対策を避けることはできない。そこで中田氏は、運営組織が資金を管理し、2年目以降は自分たちでやりくりしていけるシステムを築き上げた。
「まず、受益者負担の仕組みを作りました。つまり、このプロジェクトに参加する飲食店は、運営組織に一定の資金を提供するようにしたのです。今は、大体の店舗から年会費5万円をいただいています。一見、酷なようですが、何年も安定運営させるにはこの方法が一番なのです」
年会費と併せてもう1つ、「新・ご当地グルメ」の売り上げからも、運営資金を確保できる仕組みを作った。売り上げ按分システムという形で、一食売れるごとに組織にお金がプールされるようになっているのだ。
「基本的には1食につき50円プールされる仕組みになっています。ただしこの50円は、メニューの価格を決める際に、原価として含まれているので、店舗自体の利益は下がりません。ですので、こちらは飲食店に負担がないようになっています」
年会費と売り上げ按分。この2つから得られる資金を運営組織が管理することにより、初年度と同様のプロモーションやイベントを、継続してできるようになった。
これらの工夫が功を奏し、第1号の「美瑛カレーうどん」をはじめ、多くの商品がロングセラーとなっている。
「新・ご当地グルメ」が注目を浴び、それがロングセラーとなることで地場産食材の生産が盛り上がる。つまりは、「新・ご当地グルメ」が地域産業を活性化させる。これが中田氏の目標であり、10年以上のヒットを掲げる理由はそこにある。彼が作る厳格なルールやシステムは、すべてその目標を達成するために存在していると言えよう。