「厳しいルールを設けることは、提供する飲食店に手間がかかりますし、それを守り続けることも容易ではありません。しかし、そうすることで参入障壁は高くなり、簡単に真似できないものになります」
各メニューに設けられた多数のルールは、他が真似できないオリジナルを作るための策略なのだ。そしてそれこそが、一時の流行りで終わらない、ロングセラーを生むポイントだと考えている。
「新・ご当地グルメ」の活動は味の追求にとどまらない
中田氏は「10年ヒットして、初めて『新・ご当地グルメ』の成功がある」という。そこで彼は、メニュー開発だけでなく、安定的に商品を売るためのシステム作りをも行ってきた。
その最たるものが「運営組織の設立」だ。例えば「美瑛カレーうどん」なら、「美瑛カレーうどん研究会」、「今金男爵ポテサラごはん」なら「今金男爵ポテサラ推進協議会」というように、開発された「新・ご当地グルメ」には必ず運営組織がある。そしてこの運営組織こそ、そのグルメをロングセラーにするためのカギを握っている。
運営組織の活動としてメインになるのは、メニューの味や食材、価格について、絶えず現状分析し、課題を改善していくこと。しかしそれだけではなく、提供する店舗への指導や教育をも行う。
「運営組織は、常に提供店舗を巡回したり、お客様からアンケートを取ったりして、店舗のクオリティを調査します。というのも、『新・ご当地グルメ』は、ルールさえ守ればどの店舗でも扱えるわけではありません。協議会に公認された店舗のみ提供が可能です。となると、もし1店舗でもクオリティが落ちれば、その『新・ご当地グルメ』自体の評価が落ちかねません。だからこそ、各店舗の味のクオリティを管理する必要があるのです」
さらに運営組織がチェックする項目は、各店の従業員の対応や店内の雰囲気、トイレのきれいさにまで及ぶ。中田氏いわく、「味や料理法だけでなく、販売環境まで配慮しないと、ロングセラーは生み出せません」とのこと。運営組織と店主は密にコミュニケーションを取り、商品誕生後もさらに改善を施す。それを可能にする体制ができているのだ。