従来のご当地グルメとの明確な“違い”

 「新・ご当地グルメ」を開発する上で、中田氏は2つの大きなテーマを掲げている。1つ目は、冒頭で挙げた「地産地消」だ。「外から来た人に振る舞う料理は、地元の食材であるべし。それが地域の味であり、“おもてなし”の料理だと思うからです」というのが、彼の信念だ。

 そしてもう1つ、彼が掲げるテーマに「今までにない、新しいメニューを作ること」がある。中田氏はその理由をこう語る。

「新・ご当地グルメ」プロデューサーのヒロ中田氏

 「制約のない中で一から新たに作り出す方が、魅力的な商品を作りやすいんです。例えば富士宮やきそばのように、自然定着したご当地グルメもありますが、そういった地域に根付く料理を改良していくのは至難の業。定着しているからこそ、変えられない部分がありますから。となると、真っ白の状態から新しいグルメを作った方が、魅力あるものを生める可能性が高いんですよ」

 例えば2013年3月に誕生した、北海道今金町の「今金男爵ポテサラごはん 」。ごはんとポテトサラダを組み合わせるという中田氏のアイデアに、当初は反対の声も多く聞かれたという。しかし、「従来にない料理で、地場産食材の魅力を引き出す」というコンセプトを最後まで貫いた結果、販売に至った。

 このようにして新しいグルメを開発するのは、リスキーな作業に思える。しかし中田氏は、「新メニューの開発は、実はリスクが非常に少ないのです」と言う。

 「新メニューを作るにも、開発費は食材だけですし、売ってからも在庫を抱えることはありません。つまり、開発コストがほとんどかからないんです。だからこそ新しいグルメにこだわって、思い切ったアイデアを出せるんですね」

 例えば魚のグルメを開発するにも、「刺身にすればうまいことは分かっています。でも、その土地らしい新しい味を模索する。それが『新・ご当地グルメ』のポリシーなんです」と語る。

厳しいルールを設けることでオリジナルなものに

 こうして開発されたご当地グルメの最大の特徴は、店舗側に提供時の厳しいルールが設定されていることだ。例えば前述の「美瑛カレーうどん」では、食材の産地指定はもちろん、「『びえい牛乳』をつける」「価格は1000円(税込)以下とする」といった決まりが定められている。また、メニューによっては、使用する器まで指定されるケースもある。