こちらについては、2010年の春にバルマーCEOが次期ウィンドウズの開発に注力することを理由に、計画の中止を従業員に告げている。
もう1つは、アップルがデジタル音楽プレーヤーのアイポッド(iPod)で成功を収めた2005年当時、バルマーCEOを交えた社内ミーティングで、マイクロソフトの社員が対抗サービスの可能性を検討するよう進言したこと。
この時バルマーCEOは皮肉を込めて「この中で我が社が音楽販売事業をやっていることを想像できる人は挙手してくれ」と言ったが、手を挙げる人は1人もいなかった。
1990年代に戻れ!
前者の結果はご存じの通りだ。今やタブレット端末はアップルだけでも年間7000万台を販売する急成長製品。一方パソコン販売は過去最大の落ち込みを記録。アイパッドに対抗すべく市場投入したウィンドウズ8も苦戦を強いられている。
後者の話の続きは、音楽プレーヤー「ズーン(Zune)」だ。社内ミーティングから1年以上過ぎてからマイクロソフトはこの製品を市場投入し、音楽配信サービスも始めた。だが結局アイポッドの牙城を崩すことはできず、ズーンはその後販売中止を余儀なくされた。
ウォールストリート・ジャーナルによると、マイクロソフトには、時として安全性と利益が、技術革新よりも優先されるという企業文化があるという。
同社では日々様々な新技術が開発されている。しかしせっかくそうして生まれた技術も、既存製品の利益を脅かすと判断されれば、中断される。これがアップルやグーグルなどのライバルの台頭を許した理由なのだという。
1990年代の同社には、既存の枠組みにとらわれずに物事を考えることができる技術者が大勢いた。そうした技術者を呼び戻すためにも、次期CEOは社外から選ぶのが望ましいという意見が聞かれるという。
