米国最大の書店チェーン、バーンズ&ノーブル(B&N)は8日、ウィリアム・リンチ最高経営責任者(CEO)が同日付で辞任したと発表した。
同社は当面後任を探さないもようで、今後はマイケル・ヒューズビー最高財務責任者(CFO)がプレジデントの役職に就き、電子書籍事業などを手がける子会社のCEOも兼務するという。
いずれも同社にはこれまでなかったポストだ。またヒューズビー氏は、創業者のレオナルド・リッジオ会長の直属となるという。
リッジオ会長は声明で、「現在、当社は戦略的計画の検討段階にあり、最新情報は適切な時期に公表する」と述べている。この戦略的計画とは恐らく同氏による書店事業の買収や、子会社の一部売却と見られている。
タブレットの自社生産から撤退すると発表したばかり
これに先立ち同社は、タブレット端末の「ヌック(NOOK)HD」と「ヌックHD+(プラス)」の生産から撤退するという計画を明らかにしていた。同社には米マイクロソフトなどから出資を受けて分離した「ヌック・メディア」という子会社があり、ここでタブレット端末や電子書籍端末、電子書籍コンテンツ、そして大学構内の書店事業を手がけている。
だがこのうち大学内書店を除いた今年2~4月期の赤字額は1億7700万ドルで、1年前からほぼ2.3倍に拡大した。これが響き同社全体の純損失は1億1860万ドルと、1年前の2倍に膨らんでいる。
バーンズ&ノーブルのタブレット端末事業についてはこれまでも厳しい状況が指摘されていた。タブレットの市場では、米アップルや、米アマゾン・ドットコム、米グーグルなどの競合が多く、熾烈な競争が繰り広げられている。
その中で常に顧客を魅了する製品を出し続けるのは至難の業。同社のタブレット端末は女性に人気を博すなど一時は評判も良かったが、それを持続させるのは困難。ハードウエアの開発や製造にかかるコスト、そしてマーケティング費用などの巨額投資を行うには同社の規模は小さすぎたと指摘されている。