米グーグルは先週、自社では技術開発を行わず、買収した特許を盾に特許使用料の支払いや特許そのものの購入をテクノロジー企業に迫る「パテントトロール」が問題になっているとして、対策を取るよう求める意見書を米政府当局に送った。
グーグルと共同でこの意見書を送ったのは、ITサービス大手の米アースリンク、スマートフォンメーカーのカナダ・ブラックベリー、そしてソフトウエア大手の米レッドハット。
パテントトロールは、「NPE(ノン・プラクティシング・エンティティーズ:活動していない事業体)」や、「PAE(パテント・アサーション・エンティティーズ:特許権を行使するのが目的の事業体)」とも呼ばれる。
その名の通り、製品やサービスを開発したり販売したりせず、保有する特許を使って企業に巨額の金額を要求することを目的としている。
グーグルなどの4社は、こうした行為によって、米国経済は年間300億ドル近くの損害を被っていると説明。とりわけパテントトロールは比較的小規模なテクノロジー企業を狙うため、技術革新が阻害され、競争力の低下につながるとしている。
「パテントトロールに特許を売る企業は私掠船」
グーグルなどによると、その背景には、パテントトロールに自社の特許を売るテクノロジー企業の存在があるようだ。
例えばライバル企業を攻撃したいあるテクノロジー企業は、ライバル製品に関連する自社の特許をパテントトロールに売る。特許訴訟では通常、訴えられた企業は反訴して対抗するが、パテントトロールが相手の場合、対象となる製品やサービスがないため、反訴できない。
つまり、そのテクノロジー企業は、パテントトロールを隠れみのにしてライバルを攻撃していることになる。また時には勝訴した際の賠償金や特許使用料をパテントトロールと分配している例もあるとグーグルは説明している。