米国の社会問題を注視している方にとって、外せない議論がいまワシントンで熱を帯びている。
同性婚を認めるかどうかである。何も新しい議論ではない。すでに全米9州と首都ワシントンでは同性婚が認められている。ただこの問題はいまだに全米を二分する論争を巻き起こしている。同時に今、大企業が同性婚への姿勢を変化させてきている。
カリフォルニア州の違憲判断に連邦裁判所が待った!
いま話題になっているのは、西海岸カリフォルニア州の同性婚についてである。同州では2008年、同州最高裁が合憲との判断を下した。リベラル州らしい動きだった。
ところがその数カ月後、州民による住民投票で、「提案8号(プロポジション8号)」という修正案が可決された。「同性婚は違憲である」との決定である。
つまり住民の判断が、同州最高裁の裁定を覆したのだ。カリフォルニア州民ですら、いまだに過半数は同性愛を違憲と捉えるほど議論が割れている。
連邦政府に目を向けると、バラク・オバマ政権は確実に同性婚の容認に動いている。今月26日からワシントンの連邦最高裁判所は、カリフォルニア州の同性婚の妥当性を問う審理を始めた。
と言うのも、司法省が同州の同性婚違憲の決定はいかがなものかと判断したからだ。同省は最高裁に熟慮を求め、2月末に弁論趣意書というものを提出。内容は同性婚の禁止が、合衆国憲法修正第14条第1節に違反しているというものだ。
第14条第1節を要約すると、「いかなる州も市民の特権を除外する法律を作ったり、強制してはいけない。個人の生命、自由、また財産を奪ってもいけない。さらに法の下で、市民は平等である」となる。司法省は同性愛者であっても、結婚という市民の権利は行使できると解釈する。
エリック・ホールダー司法長官は弁論趣意書を提出した時に、次のように述べている。
「米国市民が法の下で、本当に平等であるかどうかが判断されることになる。同性婚は新たな公民権運動と言っていいかもしれない」