パリというところは、つくづくイベントを演出するのが上手なところだと思う。6月9日から14日にわたって開かれた「DESIGNER’S DAYS(デザイナーズ・デイズ)」もその1つ。デザイナーズというくらいだから、これはデザインに関するイベントで、今年で10周年になる。
インテリア、雑貨、オブジェを対象にしたイベント
パリのデザインと言うと、まずはファッションを思い浮かべる方が多いかもしれないが、このイベントでは、インテリアや雑貨、オブジェなどが対象。
フランスを代表するブランド、例えばクリスタルの「Baccarat(バカラ)」やカトラリーの「Christofle(クリストフル)」をはじめ、外国のブランドでもパリにブティックを持つところなど50件ほどが参加した。
このイベントの時期、期間限定のデコレーションを施したり、新作を発表したりなど、いつもとは違った趣向で一般のゲストを迎え入れる。市内各所に散らばるすべてを見て回ることはさすがにできなかったが、そのうちのいくつかを巡った模様をここにご紹介したいと思う。
まずは、高級インテリアの家具の「roche bobois(ロッシュ・ボボワ)」。ここでは、デザイナーズ・デイズ10周年にちなんで、10のコンセプトによるブースを展開。中でも一番目をひいたのが、ジャン=ポール・ゴルチェによるシリーズだ。
彼のクリエーションのモチーフとして有名なボーダー柄を全面に押し出したインテリアが、店内のじゅうたんやウインドーまでをトータルでコーディネートした形で展開されている。
ジャン=ポール・ゴルチェといえば、現在のフランスのトップデザイナー。その彼の持ち味が、カジュアルなソファやベッド周りのオブジェなど、かなりの種類のアイテムとして生かされており、なかなかインパクトがある。
そして、サンジェルマン大通りをはさんでその向かいにある「Boffi(ボッフィ)」は、キッチンやバスの名門イタリアブランド。
こちらの方は、特別に新製品を製作してという形ではなく、ショールーム全体をまるでエキスポ会場に仕立てたような、粋な空間演出がされていた。
ブランドとつき合いのある建築家やデザイナー10人に、「理想のキッチンを作るためのレシピは?」という質問を投げかけ、それに対する答えをビデオで流しつつ、実際にショールームに配備されているキッチンセットのいくつかの扉を開くと、飛び出す絵本のような要領で、様々な世界が展開するという仕掛け。なんとも洒落ているのである。