空前の「こうじ」ブームの裏で
メーカーはなぜ悲鳴を上げるのか

2013.03.01(Fri)白田 茜

加工用米の流通量はわずか

 加工用米の主な流通ルートは3つある。

 1つ目は、主食用に流用されないよう米を細かく砕き、全農が米菓・味噌メーカーなどに販売するルート。

 2つ目は、主食用に回らない小さなサイズの「くず米」が米菓・味噌メーカーなどに供給されるルートだ。くず米は、収穫後のコメを1.7ミリのふるいにかけて落とされたもので、毎年収穫量の3~5%ほど発生し、主に米菓や味噌などの加工用になる。一定の品質で安定した需要があり、民間で自由に取引されている。

 3つ目に、政府が輸入を義務づけられたMA(ミニマムアクセス)米がある。MA米は、米菓、味噌メーカーなどが入札して買っている。

 「全国米穀工業協同組合」のホームページを参考に流通量を整理してみたい。データは少し古いが、上記の1つ目のルートで流通する加工用米は、約15万トン。2つ目のくず米が約21.5万トン。3つ目のMA米が約37万トンだが、政府の試算によると、MA米のうち20万~30万トン程度が加工用米になる。

 合計すると国内で流通する加工用米は約66万トンと見積もられる。国産のコメの収穫量を約850万トンとすると、加工用米の流通量は国内の収穫量の1割にも満たないわずかな量だ。そのため、コメの収穫量の増減の影響を受けやすいと考えられる。コメの収穫量が減れば一定の割合で生じる「くず米」も少なくなる。また、米粉用米と飼料用米の補助金の方が手厚ければ、生産がシフトするのも予想がつく。

国産の加工用米の需要が増している理由

 国産の加工用米が不足する一方で需要は増している。国産の加工用米の高騰が続けば、輸入米に切り替えるメーカーは増えるかもしれない。実際に、品質が良くて手頃な価格の国産の加工用米が入手困難なため、輸入米に切り替える菓子メーカーも現れているという。

 ちなみに、国産の加工用米の需要が増している一因として、生産から販売までの各段階で記録を義務づける「米トレーサビリティ制度」が2011年に導入されたことがある。メーカーは原料となるコメの産地表示を義務づけられている。米菓や日本酒、餅など米を加工した食品も、使用されているコメの産地が分かるようになった。消費者には根強い「国産」志向があるため、国産の加工用米の需要が増しているという。

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