小沢氏、政権交代訴え「所信表明」 国会

小沢氏、政権交代訴え「所信表明」 国会〔AFPBB News〕

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 もっとも、民主党の小沢一郎代表との比較では、麻生の方が人気は高い。「麻生と小沢のどちらが首相にふさわしいか」という質問では、どの調査も麻生が小沢を大きく上回り、今のところ麻生の明るいキャラが小沢の暗さよりも好感を持たれている。と言うより、小沢に人気がなさ過ぎるのだ。独断専行の小沢に対するアレルギー反応は根強く、民主党の最大のネックは小沢とも言える。

 だからこそ麻生は、次期衆院選を「麻生 VS 小沢」の党首対決に持ち込み、「党首力」で勝負しようと目論んでいる。「麻生はやりぬく」と新聞広告を大々的に打ち出し、自らの指導力アピールに躍起なのである。

今、総選挙なら「自殺行為」?

 それにしても、中山成彬国土交通相が問題発言を連発して在任5日で辞任したことは、麻生政権にとって大きなダメージとなった。中山は9月25日のインタビューで成田空港反対闘争を「ごね得」、大分県教委の汚職に関しては「日教組の子どもは成績が悪くても先生になる」と言い放ち、とどめが「日本は単一民族」。いったん発言を撤回して謝罪したものの、27日に再び「日教組はがん」と主張した。中山を選んだ麻生の任命責任が問われ、内閣支持率の急落は必至。自民党選対幹部は「今、選挙をやれば自殺行為」と頭を抱えている。

 そもそも自民党は、前回2005年の郵政解散・総選挙で勝ち過ぎた。「郵政民営化は是か非か」と叫ぶ小泉首相(当時)の迫力とカリスマ性にしびれ、有権者はころっと騙されてしまった。自民、公明両党合わせて衆院で3分の2以上の議席を与えたことを、大多数の有権者は今、後悔しているだろう。

 あれから3年。安倍晋三と福田康夫は2代続けて任期途中で政権を投げ出し、世論を唖然とさせた。年金記録漏れ、後期高齢者医療制度の導入、官僚の不祥事、政治とカネの問題、相次ぐ閣僚の辞任・・・。景気は後退し、都市と地方の格差は拡大するばかり。物価高なのにサラリーマンの給与は上がらず、世の中には言いようのない閉塞感が漂う。こうした中、麻生が政治不信を払拭し、日本を本当に明るく強くできるのか。

 自民党総裁選では、小泉改革路線の踏襲を訴えた小池百合子が惨敗した。構造改革の反動も手伝い、麻生政権は誕生した。当面、麻生は小泉改革を過去のものと強調し、自民党の「先祖返り」を目指すだろう。財政再建より景気対策重視。選挙で勝つには、定額減税を含めて「バラマキ復活以外にない」と確信しているのだ。

 これに対し、民主党は「自民党は表紙が変わっても、何も変わらない」と訴える。しかし、民主党の政策も子供手当創設など、所詮は予算バラマキのオンパレードなのに、いかに財源を確保するのかは不透明だ。
 

 それでも、最近の世論調査を分析すると、無党派層の多くは「小沢は嫌いだけど、今度は民主党に一票入れようか」と考えているようだ。いくら麻生が自らを売り込もうが、自民党自体が既に耐用年数を過ぎており、「政権交代」が現実味を帯びているのは確かだ。

(敬称略)