北朝鮮による12日の長距離ミサイル発射(光明星3号)は、米国を含めた周辺国を唖然とさせた。当日早朝まで、ミサイルは解体作業に入ったため今月下旬まで発射は行われないと伝えられていたからだ。

 北朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会が10日、談話という形ではあるが、ロケットの技術的な欠陥が発見されたため発射期間を29日まで延長するとの報道を流してもいた。衛星写真による分析では、ミサイルは解体されているとの見方が強かった。

米諜報活動、力不足を露呈

北朝鮮のロケット打ち上げを非難、対応めぐり協議続ける 国連安保理

北朝鮮が打ち上げたロケット(弾道ミサイル)〔AFPBB News

 だが北朝鮮政府は見事にその裏をかいてきた。米国政府の一部からは、「これで米諜報活動が機能していないことが分かってしまった」との声が上がった。

 発射期間の延長という発表を鵜呑みにしたことで、北朝鮮内部への諜報活動の失敗を内外にさらすことになった。

 と言うより、北朝鮮にしてみると「我々のことはやはり何も分かっていない」という納得があり、米諜報機関にすると「正確な情報を入手していないことがバレてしまった」という点に帰結した。

 実は米国の諜報機関は何年も前からその弱点を認識しており、最近になってスパイ活動を強化する動きに入ったばかりだった。11月初旬、ワシントン・ポスト紙は国防総省(ペンタゴン)内にある国防情報局(DIA)を増強する計画があるとの記事を掲載した。

 増強の中核はケースオフィサーの大幅な増員である。ケースオフィサー、つまりスパイの増員だ。現在国外を中心に約500人いるスパイを、今後最大で1600人に増やす予定だという。

 米諜報機関はホワイトハウスの直轄組織である中央情報局(CIA)をはじめ、国家安全保障局(NSA)、国家偵察局(NRO)、そして今回のDIAなど17組織があり役割が少しずつ違う。

 その中でDIAのスパイ増員計画は、まさしく北朝鮮やイランの核兵器開発や武器輸出の実態を正確に探ることを目的としている。その発表直後だっただけに、「間に合いませんでした」では済まされない失態である。

 今回のスパイ増員計画の前段階として、今年4月、ペンタゴン内に国防機密局(DCS)という新しい諜報組織が立ち上げられてもいる。