なぜ中国で暴力的なデモが繰り返されるのか
海外から技術を導入することは容易であり、経済が発展すると簡単に最先端技術を持てるようになるが、民度の向上には数十年単位の時間が必要になる。その結果、国民の平均学力が小学校卒業程度の国が、核兵器、航空母艦、ステルス戦闘機を持つことになる。
このアンバランスは、隣国である日本にとっては気が重い事実である。日本は明治以来約150年を経た国であり、多少の問題はあるにせよ、人々が政府の宣伝に乗って極端な行動に出ることはない。事実、今回の尖閣問題でも大規模な反中デモは起きなかった。まして、日本人のデモ隊が中国人の経営するレストランを焼き討ちして、中国人を殴ることなどなかった。
中国が過度に領土拡張を図り暴力的なデモを繰り返す背景には、いまだ開発途上国のレベルに留まる教育がある。そうであるなら、これからも今回のような事態が繰り返されるだろう。
そして、いまだに民度が低いことが、中国が経済発展において見えざる壁にぶち当たる原因になっている。
ここでは紙幅の制限もあり民度が低いことが経済発展に及ぼす影響については十分に述べることはできないが、この辺りの事情については拙著『データで読み解く中国経済 やがて中国の失速がはじまる』(東洋経済新報社)に記したので、お読みいただければ幸いである。