BBCで初めて南アジア系ファミリーが主人公となるシットコム(sitcom)「Citizen Khan」が好調だ。バーミンガムで暮らす「British Pakistani」である主人公たちが繰り広げる笑いは、イスラム教をめぐる描写に少なからず批判はあるものの、評判も概ね良好のようだ。

13万人のパキスタン系住民が暮らすブリティッシュ・パキスタン

Citizen Khan

 バーミンガムは、人口の1割以上に当たる13万人余りものパキスタン系住民が暮らす「Capital of British Pakistan」。

 そう言えば、先日、パキスタンのアザド・カシミール州との間で長距離バスの運行計画があるとの報道もあったし、イスラマバードからの航空便も多い。

 女性の教育の必要性を訴えていたパキスタンの15歳になる少女が、パキスタンタリバン運動(TTP)から銃撃を受け、今、バーミンガムの病院で治療を受けているのもそんなつながりあってのことなのだろう。

 今回銃撃事件が起きたのは、政府の力がほとんど及ばないトライバルエリア(連邦直轄部族地域)ではなく、その東隣に位置するカイバル・パクトゥンクワ州。

 「アジアのスイス」とも呼ばれる豊かな自然とガンダーラ仏教遺跡で人気のスワート渓谷の中心地ミンゴラだった。

パキスタン観光の目玉、カラコルム・ハイウェイ

British Pakistani を描いた映画は何本かあるが「ぼくの国 パパの国」がその代表作

 2009年には、タリバン掃討作戦に成功し、その後も警戒続く中での事件だっただけにショックも大きく、西洋化を非難しての犯行ということから、活気を取り戻しつつあった観光業にも痛手となりそうだ。

 そんな北パキスタン観光の目玉と言えば、そこからやや東方を南北に貫く「カラコルム・ハイウェイ」からの風景だろう。

 北へ向かえば、やがて、印パ国境係争地帯カシミールで、アザド・カシミール州とともにパキスタンが実効支配しているギルギット・バルティスタン州。右手には8125メートルの名峰ナンガ・パルバートが見えてくる。

 ウルドゥー語で「裸の山」を意味する名峰の世界最大となる4500メートルの標高差を誇るルパール壁では、幾多の登山家が挑戦し命を落としていることから、ドイツでは「運命の山」とも呼ばれている。