経営力がまぶしい日本の市町村50選(2)
経営力がまぶしい日本の市町村50選の第2回として紹介するニセコ町。昨日の「役人を経営者に変える町、北海道ニセコ町」に引き続き、片山健也町長のインタビューをお送りする。
有島武郎の言う「相互扶助」社会をつくりたいと訴えて当選
川嶋 逢坂誠二(元ニセコ町長)さんは3期10年務められて国政に出たわけですが、ニセコに関しては後任に任せても大丈夫だろうということだったんですか。
片山 そうですね。逢坂さんは就任当初から自分がいなくなっても転がる組織が大事だと、職員の研修にとても力を入れていましたし、まちづくりの人材育成にも力を入れておられました。
川嶋 片山さんは選挙でどんな主張をされたのですか。
片山 ニセコには白樺派の作家として有名な有島武郎の業績を紹介する「有島記念館」というのがあります。有島武雄は「相互扶助」という思想に基づく、慈愛的な作品を書いています。
私は、この「相互扶助」こそが公共の役割だと思っています。
有島武郎は大正11年に自分の所有する土地450町歩(約4.5平方キロメートル)を小作人に無償開放したんです。小作人が共同でつくる組織「共生農団」をつくった。
今の日本社会はアメリカ型の、社会を市場化する方向にありますけれど、私の考えはまったく違います。経済は市場主義でいいんですが、社会を市場化したら公共の役割はなくなる。弱者はみんな切り捨てられてしまう。
私は、有島武郎が言う「相互扶助」社会をつくりたいということを前面に押し出しました。教育をはじめ、子どもの笑顔が輝くための施策を徹底してやる町にしたいと。それが結果的に農業と環境を守って、子どもたちの命を守ることになります。
霞が関に飲み込まれないよう、自治体職員の実力を上げるべし
川嶋 アメリカ型をやりすぎると社会がなくなってしまうという話ですが、企業的な手法を取り入れること自体は間違いではないですよね。片山さんも民間出身でそういう改革をされてきたのではないですか。
片山 そうです。非効率なことはやめた方がいい。ただし、それは費用対効果という意味ではありません。