ジョン・マローン。
この名前を聞いてピンとくる方は、米国ビジネス、特にケーブルTVか不動産業に通じているに違いない。
全米一広い土地を所有する男
マローン氏は「リバティ・メディア」というケーブルTVの会長を務める。ディスカバリー・チャンネルやテレビ通販のQVCをはじめ、エンターテインメントやスポーツまで幅広い分野でのケーブル事業を展開している。
なぜここで同氏を取り上げるかと言えば、昨春からある分野で全米一になったからである。
米国に「ランド・リポート(土地報告書)」という季刊出版物がある。全米の土地所有者100位のリストを毎年公表しており、そのトップにマローン氏の名前が挙がっているのだ。
昨年初頭まではCNN創業者のテッド・ターナー氏がきていたが、昨春マローン氏がメイン州に広大な土地を購入し、トップの座についた。米誌で大胆なことを口にしている。
「風景を所有する」
総面積は約8万8000平方キロ。北海道(8万3000平方キロ)よりもやや広い土地を所有する。米国で言えば東部ロードアイランド州の約3倍にあたる。
さすがに1カ所でこれだけの土地は所有できず、自宅のあるコロラド州をはじめ、ニューメキシコ州、ワイオミング州、メイン州を含む9州で森林や牧場を持つ。
本稿でマローン氏に焦点を当てたのは、ターナー氏を抜いて全米一になったためではない。経営理念と世界観があまりにも超俗的だからである。