連載「変化と進化を先読みする~メディアの未来」は、ソーシャル化、モバイル化の大風にあおられながら、メディアおよびメディアビジネスがどう変化しようとしているのかをリポートします。
連載第12回目の本稿は、動きの激しいデジタルメディアの分野で「媒体価値」がどう変化しようとしているのか整理します。
媒体価値とは、文字通りメディアの価値を指しますが、それは広告業界で多用される概念です。元来、読者にとって多様であっておかしくない価値ではありますが、メディアの価値を広告の投資価値として定量的に指標化できれば、媒体への投資価値を正当化できるため、広告主、代理店等、そして媒体運営者のいずれもが、この媒体価値を追い求めているわけです。
改めての問いです。ではこの「媒体価値」とは何でしょう? 何がそれを決めているのでしょうか。
● 媒体価値 media value(weblio辞書)
Web辞書weblioは、「媒体価値は媒体の量とオーディエンスの質と反応の程度によって決まる」と説明します。Webメディアでは「量」はページビュー(もしくは広告の表示回数であるインプレッション)、「オーディエンスの質」は読者の層やそれに対する結びつき、そして「反応」は広告を見る、あるいは、広告をクリックする比率などとなるでしょう。
● ページビュー/サイトの媒体力とアクセス単位の定義(D. A. Consortiumサイト)
この記事では、デジタルメディア広告の第一人者であり、DigitalExperience!のキュレーターでもある横山隆治氏が、上記の「量と質と反応」の関係について分かりやすく説明します。
本連載では何度かWebメディアの転換期について触れてきました(例えば、「『フリーミアム』はメディアビジネスを変えたか?」を参照)。この15年間、数々のWebメディアは量的な成長を追い求めてきました。それは広告をベースとする経済モデルが、ユーザーへのリーチとそのアクセスの結果であるページビューに直結していたからです。ページビューを多く発生するメディアは広告を大量に表示でき、それが収入増に比例するからです。
しかし、すでにその曲がり角が数年前から指摘されています。
Point Webメディアの媒体価値は、「量」的段階から新たな段階へ?
● 「配信されたインプレッションのうち、31%は無視されている」 話題の“Viewable Impressions”は誰にとって有効な指標か(MarkeZine)
この記事は、Webメディアに配信された広告の約3割がユーザーに届いていないという、海外の調査企業による調査結果を伝えます。