バンクーバー新報 2012年8月23日第34号
カナダ銀行のマーク・カーネイ総裁は20日、新100ドルの図柄の決定にあたり人種差別的行為があったとの非難を受け、謝罪した。
問題となったのは、去年11月から発行された新100ドル札の裏面の図柄。オリジナルでは顕微鏡を覗き込む女性がアジア系女性だったという。
しかし、発効前にカナダ銀行が行ったフォーカスグループ(市場調査のための消費者グループ)の中から、アジア系女性はカナダを代表していない、もしくは他の民族も使うべきだとの意見が出たという。
そこで、カナダ銀行はアジア系女性の図案を取り止め、白人系女性に変更。現在の新100ドル札は、白人系女性の図案で発行され、オリジナルは一度も印刷されなかった。
この事実をカナディアンプレス社が記事として掲載。各方面、特にアジア系団体や人権団体、他社メディアから批判が上がり、カーネイ総裁が謝罪の声明を発表した。
「今回この件に関して、銀行が一般的なカナダ国民を正当に表現できなかった問題で不快に思われた方々に謝罪する。今回のことを踏まえ、デザインの過程を再調査するつもりである。我々の紙幣はすべてのカナダ国民に属するものであり、我々の銀行業務もすべてのカナダ国民のためにある」と説明した。
フォーカスグループはカルガリー、トロント、モントリオール、フレデリクトンで行われ、トロントではオリジナル図柄にほとんど異論は出なかったという。
今回の件でトロントに拠点を置く中国系カナダ人団体は最初「人種差別だ」と非難したが、同団体代表はカーネイ総裁からの電話で謝罪と再調査を受け入れたと語った。
カーネイ総裁は、オリジナル図案は東南アジア系女性の写真を元にフォトショップでデザインしたものをグループに提示したと語ったが、カナダ銀行広報は、オリジナルは特定の民族からイメージを取ったものではないと発表している。
カナディアンプレスは、カナダ銀行側にオリジナルデザインのコピー提示を要求したが、拒否されたと伝えている。
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