自民党衆議院議員の石破茂氏をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。防衛相、農水相を歴任した石破氏が、日本の国防問題や政治の課題などについて論評した。

北朝鮮や中東を訪れ、肌で感じた国防への危機感

中山 防衛庁長官、防衛相のご経歴から、石破さんといえば「防衛」のイメージが強いですが、防衛を自らの活動の中心に据えたきっかけは何ですか。

2011年12月のエコノミスト・カンファレンス『再考:日本にリーダーは必要か?』に登壇した石破茂氏(撮影:前田せいめい)

石破 「要するに好きなんだろう」と言われますけれども、確かに私は護衛艦も戦車も戦闘機も好きです。好きでなければこの仕事をやってはいけないと思うんです。

 護衛艦や戦車が好きだと言うと、それが“戦争大好き”とか“殺人鬼”を意味するような話になるんですが、それは違います。好きであらばこそ殺人の道具に使ってはならない。

 これは私だけでなく、現場にいる自衛官たちが一番よく分かっていることです。

 私が今の仕事に就いた理由は2つあります。1つ目は当選2回の時、北朝鮮をこの目で見たことです。今から20年前、当時はまだ日本人拉致問題も表に出ておらず、ミサイル発射や核実験なども行われていませんでした。

 ちょうど金日成初代主席の80歳の誕生日ということで、自民党、日本社会党、公明党などの超党派で訪問団をつくり、羽田からチャーター機で祝福に向かったのです。

 そこで、こんな国があるのかと大きなショックを受けました。なぜなら、北朝鮮では徹底した反日、個人崇拝が貫かれていたからです。

 例えば、現地のビルやダムの建設現場を日本人妻の案内で訪れると「一度も事故を起こさずに予定よりもはるかに早く工事が進捗している。全て偉大なる金日成様のお陰である」と解説される。

 このように皆がマインドコントロールされていて、異を唱える人はおそらく強制収容所に入れられてしまうんでしょう。その現実を実際に見て、「この国は必ず何かやる」と直感したのです。

 第2のきっかけは湾岸戦争終結後、医療や難民救済のために個人志願した医師・看護師たちと一緒にイラン、イラクを訪れた時のことです。そこで目の当たりにしたのは、1つの山を越えると別の国があり、違う宗教を信仰する人たちがいるということ。