日本の冷凍食品は海外でも人気があるが、国内で生産すると米の値段が高すぎて採算が取れないので、食品業界は海外に冷凍食品の工場をつくっている。日本のお菓子も人気があるが、日本でつくると砂糖やバターなどに高い関税がかかっているため、輸出できない。
TPPを軸に政界は二分
7月30日に閣議決定された政府の日本再生戦略でも、医療・環境と並んで農業を成長分野に挙げた。しかしその具体策を見ると、農家への戸別所得補償や青年就農者の支援などのバラマキ補助金が並び、農産物の自由化にはまったく触れていない。

TPPに反対する政治家は、こうした補助金漬けの農業を保護して日本の食文化を殺している。2011年11月に提出されたTPP交渉参加反対に関する国会請願の紹介議員のリストによれば、TPPに反対する議員の数は右の表の通りだ。
これは衆議院480人、参議院242人のほぼ半数にあたる。TPPは自由主義か保護主義かというだけではなく、農家の既得権か消費者の利益か、地元の利益か経済成長か、といった日本を二分する争点で、どっちを取るかの試金石である。
現在の政党は、各党の中に自由主義と保護主義が混在していて、有権者の選択肢がない。野田首相がTPPを「踏み絵」にして反対派を追い出し、彼らが自民党や「国民の生活が第一」などの中にいる保護主義派と合流して新党を結成すれば、政治の対立軸は明らかになる。
TPPを軸に政界が再編され、次の選挙が「自由主義党」と「保護主義党」の闘いになれば、国民の選択は明快になるだろう。