7月6日、厚労省は「専門医の在り方に関する検討会」の中間報告を公表しました。

 中間報告では、学会が認定する現行の専門医制度を、中立的な第三者機関が認定する制度に変更することのほか、「総合医(総合診療医)」の追加や、各診療領域の専門医の養成数を管理・調整する方針などが示されています。

 現在、各学会が独自に認定している専門医制度は玉石混淆であり、第三者評価が必要なのは間違いありません。また、「専門分野しか診察しない医師」だけではなく、1人の患者さんを総合的にずっと診察し続ける「総合診療医」が必要なのも確かです。

 しかし、各診療分野で養成する専門医の数を公的に管理すると、専門医師が自由に参加して議論できる学会本来の良さが失われることにつながります。

 さらには、公的な管理による専門医枠が“既得権益化”して、専門医の質を低下させる結果に終わる気がしてなりません。

現状の学会の専門医は玉石混淆

 そもそも「専門医」とは何か整理しておきましょう。

 日本では、医師は6年間の学生生活の後、医師国家試験を受け、合格すると医師免許を取得できます。それから、さらに2年間の初期研修と3年間の専門研修(合計最低でも5年間の研修)を受けると、各学会の“専門医”試験の受験資格が得られます。

 専門医試験では筆記試験と面接試験が行われ、これまでの経験症例が基準を満たしているかの審査と合わせて合否が決定します。

 日本の医師免許は自由にどの科目でも標榜することができますが、この“専門医師制度”の存在により、専門とする科目において身につけるべき技術の目安が示されているのです。

 しかし、1980年頃の専門医制度設立時には、試験もなく、学会の会員歴(何年間会費を支払ったか)のみで専門医資格が乱発されていたという経緯があります。そのため、現時点で「○○学会専門医」といっても、その専門医の質は玉石混淆の状態なのです。