「バブル崩壊時間表」――。中国で今、こんなサイトが注目を集めている。サブタイトルは「中国不動産市場は日本の轍を踏むか?」。

 サイトを開くと、2つのビルの絵が左右に並んで描かれている。左は、日本のバブルの始まりから終焉までをビルになぞらえたもの。1985年からスタートしてどんどんビルが高くなっていき、91年のバブル崩壊でビルの頂上が崩れ落ちている。

 右側に描かれたピンク色のビルは、中国のバブルの様子を示している。中国不動産に関わる過去の出来事を、一番下の2005年から記してある。2005年は「通貨の切り上げ」、2006年は「資金の不動産市場への流入」、2007年に「不動産価格、3倍に高騰」、2008年には「不動産価格の下落、“地王”(注1)がそれを引き上げ」と続いている。

 そして気になるのはその先だ。読者の目は、ビルの上の赤い「?」マークに釘付けになる。

 上海でも2001年以来、住宅価格は右肩上がりの上昇を続けてきた。2010年以降は、どういう曲線を描くのだろうか。果たして過熱は抑えられるのか。上海における話題の中心は、この上海不動産の行く末にある。

天井知らずだった2009年の住宅価格

 2009年、上海では中心部の環状道路「内環状線」の内側で竣工した新築物件は平米単価3万元超(1元=約13円)の価格となり、また「外環状線」の内側ですら、平米単価2万元以下で取得できる新築物件はなくなってしまった。

 新築物件の価格は毎週1000元ペースで上昇、中には「一時期、毎週10万元つり上げても買い手がついてきた」という物件も存在した。

 まだまだ上がると目論んだデベロッパーは売り惜しみをし、本当に物件を必要としている勤労世帯(実需層)を門前払いにした。そして、彼ら庶民をして「上海の住宅価格は、人為的操作以外の何ものでもない!」と叫ばせた。

 心理的な作用も大きかった。2009年は、冷え込んだ市場を政府が刺激した。人民銀行の融資拡大(2009年商業銀行の新規融資額は約10兆元)とともに、住宅購入については一律「頭金は2割」と抑え、しかも利息の割引までついた。

 また、営業税(不動産譲渡税)の減税が景気刺激策として実行され、その恩恵に預かろうという層もマーケットに参入。2009年末の終了を目前に「乗り遅れるな!」の駆け込み需要が急増した。「財政出動は大変なインフレを招く」と専門家らが繰り返し発言したことも、市民の焦りに火を付けた。

 こうした要因が重なり、不動産価格は2009年第2四半期以降、瞬く間につり上がり、多くの実需層を青ざめさせた。

(注1) 「地王」とは最高額で落札するデベロッパー。4月のマクロ調整(「国十条」)が出される前は国有企業による落札が顕著で、問題視されていた。