「専守防衛」での陸上戦が意味するものは?
今回このような話を書いたのは、沖縄戦についてどうこう言いたいわけではない。それは、読者の皆さんがそれぞれに汲み取り、考えていただければ幸いに思うのだが、ふと思うところがあったのだ。
それは、昨今、熱を帯びてきた「陸上自衛隊に海兵隊的機能を期待する」という議論についてだ。
JBpress上でも拙稿や北村淳氏の論考など、繰り返し取り上げられているテーマであり、国会でも石破茂元防衛大臣がしばしば発破をかけているが、今、わが国でそのような装備を保有した場合はどうなるのだろうか。
陸海空の統合運用は確かに欠かせないが、陸軍がかつて船舶隊や船舶工兵という自前の輸送機能を有していた史実は注目に値する。
連携だ協力だと言っても、そう上手くはいかないのは今に始まったことではなく、この方式がやりやすかったのだろう。
歴史とは皮肉なものだ。今は日米同盟があり、状況は全く違うのだが、万が一、日米同盟がなくなった場合、専守防衛の日本の陸上戦闘は、制空権を奪われた中で何ができるかというと、「マルレ」のような特攻作戦しかなくなってしまうのではないだろうか。
米海兵隊が上陸作戦を敢行するのは、当然ながら制空権を取ってからである。陸自が装備を多様化させるのはいいが、それだけで島嶼奪還ができるわけではない。
憲法改正を含めた国のあり方そのものの深い論議が必要であり、また、そんな気を起こさせない国の守りが何より求められる。