4月4日、米国の9つの医学会が「医師と患者が問い直すべき5つの項目」というリストを発表しました。これにより、基本的に不要な医療費の削減が可能になり、その削減額はなんと数兆ドル(!)に上るといいます。

 米国家庭医学会(AAFP)が提示した例を見てみましょう。

 「中等度の副鼻腔炎(いわゆる『蓄膿症』:鼻づまりや頭痛を起こす)に対して、1週間以上症状が続いている場合、または症状が軽快しかけたあとに悪化した場合を除いて、抗生物質を処方してはならない」

 「進行性の神経学的な所見や骨髄炎を疑わせる所見がない場合、背部痛が起こってから6週間以内に写真を撮影してはならない」

 これは、「中等度の蓄膿症は、1週間以上症状が続いているのでなければ、抗生物質は出しません」、そして「背中が痛くても、それが6週間以上続くのでなければレントゲン写真は撮りません」ということと、ほぼ同義です。

 米国内科専門医認定機構財団が行う、「Choosing Wisely」(賢く選ぼう)と題されたこのキャンペーンを、「日本には当てはまらない」と笑い飛ばすことは簡単です。

 でも、本当に日本には当てはまらないのでしょうか。日本においても「何が無駄な医療なのか」を明らかにしないと、結局は問題を先送りするだけになってしまうと考えるのは私だけでしょうか。

アメリカの医師たちは経済的に大打撃

 「Choosing Wisely」キャンペーンの目的は、医療行為によって患者が危険にさらされたり、医療スタッフに不要な負担がかかったりするのを減らすことにあります。

 「専門分野の医師たちと、消費者が互いに協力して作り上げた」という今回のリストには、上記の他に以下のようなものが含まれています。