ゴールデンウイーク最終日、竜巻が関東平野を襲った。その強烈な破壊力を見せつけられ、地震、津波、火山噴火、台風など、天災に泣かされ続ける日本列島に、さらなる衝撃が走った。

 CNNを見ていると、竜巻による甚大な被害はたびたび報道されており、事実、米国では毎年100人弱の犠牲者を出すほど頻発している。しかし、日本にいると、どうしても他人事にしか思えない。

米国の心臓部、カンザス州は竜巻の通り道

カンザスシティ

 竜巻と言われても、「大草原の小さな家」や『オズの魔法使』(1939)ぐらいしかイメージできないというのが実感かもしれない。

 カンザスを舞台にした『オズの魔法使』では、主人公ドロシーが突如襲ってきた竜巻に家ごと飲み込まれ「オズ」の国にたどり着くところから話が始まる。

 米国では、大草原で起こる竜巻が住民たちを悩ませ続けてきたから、そんな設定も思いつくのだろう。

 冒頭、ドロシー役のジュディ・ガーランドが「Somewhere over the rainbow ・・・」と歌う名曲「虹の彼方に」の歌詞内容ほどに、地平線上のかなたにまで続く広い広い大草原、グレートプレーリーの真ん中にあるカンザスは、地理的にも人口分布的にも米国の重心に位置することから「Heart of America」と呼ばれる。

『オズの魔法使』でジュディ・ガーランドが歌った「虹の彼方に」は誰もが知る永遠の名曲

 そんな大いなる田舎カンザス州には有力なプロスポーツチームはない。今では緩くなったものの、スポーツ観戦につきもの? のアルコール販売を厳しく制限してきた伝統も影響しているのかもしれない。

 「ちょっと待った!『カンザスシティ・ロイヤルズ』があるだろう、あの『トルネード(竜巻)投法』の野茂英雄投手が最後のマウンドに上がったのもロイヤルズのユニホームを着てだったじゃないか」と言われるかもしれない。

 その通り。確かにロイヤルズの本拠地はカンザスシティにある。しかし、それはミズーリ州のカンザスシティ。

 実は、同じ大都市圏を形成しているものの、ミズーリ川を挟んでカンザス州とミズーリ州にカンザスシティはまたがっており、その中心はミズーリ州側にあるのだ。