サムスングループの李元会長に執行猶予付きの判決、ソウル高裁

遺産相続を巡り実兄と実姉から提訴された李健熙(イ・ゴンヒ)会長〔AFPBB News

 サムスングループ創業者の遺産相続を巡って李健熙(イ・ゴンヒ)会長(70)を実兄である李猛熙(イ・メンヒ)氏(80)が提訴した問題は、両氏が公然と相手を非難する「罵倒合戦」に発展し、韓国社会で大きな話題となっている。

 双方とも一歩も引く構えはなく、訴訟は、骨肉の争いの様相を呈してきた。

 訴訟に対して、これまで李健熙会長は公開の場での発言を控えてきた。ところが2012年4月17日、早朝の6時半すぎにソウル中心部のサムスン電子に出社した際に、待ち受けていた記者団に対して、初めてコメントした。

 その内容は、あまりにもすさまじく、記者団からも驚きの声が上がった。

記者団が驚いた会長の剣幕

 ある記者が、「お兄さまの訴訟は残念ですか」と聞くと、李会長は、この質問を待ち構えていたように、一気にまくし立てた。

 「相手にするつもりなどない。向こうが訴訟をするというのなら、こちらも大法院(最高裁に相当)だろうが、憲法裁判所だろうが、行く所まで行く」

 あまりの剣幕に記者が次の質問をしかねると、李会長は、こぶしを握りながら、こう続けた。

 「だいたい相手になどならない。水準以下の輩なのだから、残念とか悲しいとかすら思わない。先代会長のときに、遺産分けが終わっている。だからそれぞれがお金を持っていて、(李猛熙氏の長男がオーナー会長で、サムスングループから分離した)CJだって(資産を)持っている。にもかかわらず、サムスンがとても大きくなったから、欲が出てきたのではないか。私は、一銭たりとも払う考えなどない」

 韓国の経済界では、李会長が沈黙を守っていたことで、水面下で兄弟間の和解に向けた話し合いが始まっているとの憶測も出ていた。

 ある経済人は、「年老いた実兄が、創業者の相続を巡って弟であるサムスン会長を訴えるなど、サムスンのイメージにとってあまりによくない。きっと水面下では、話し合いが進んでいるのだろう」と説明してくれた。

 ところが、この日の発言で、まったくそんな意思がないことが明らかになった。