実際の一般募集申し込み現場では、各所で混乱が見られた。

 カンボジア株式投資のためには、現地証券会社への証券口座(株式の口座)の開設、決済銀行への決済口座(資金の口座)の開設、さらにはSECCが割り当てる投資家IDの取得、が必要となる。

 当然、どの証券会社や決済銀行のスタッフにとっても初体験となる申し込みプロセス。担当スタッフによって説明内容が異なったり、追加の必要事項の要請が事後発生したり、必要と言われた物がナシでもOKとなったりなど、良くも悪くも投資家を当惑させる状況が続発した。

カンボジア証券取引委員会(SECC)の建物内部(著者撮影)

 また、ほぼすべての投資家が、SECCに対する投資家IDの取得申請を証券会社に代行依頼していたが、一般募集がスタートした3月29日時点でもまだ取得できていないケースが多発。

 現地証券会社も「当方は取得申請を既に済ませており、現在SECCの発行待ちです」という状況がギリギリまで続いた。実際、4月2日になって無事取得できた連絡が来てホッと一安心した、という投資家もいた。

 果たして申請した投資家全員にIDが無事発行されたかどうかは不明だ。

※4月6日時点で、IDが発行されず申請できなかった投資家がいたというニュースは未確認(筆者)。

 上場するPPWSA、上場実務を担う幹事証券会社と決済銀行、それらを監督するSECC、上場後に実際の取引をつかさどるCSX(カンボジア証券取引所)。その誰にとっても初経験となる上場プロセスが、手探りとも見える状態の中で、現状何とかスケジュール通りに進んでいる。

 4月中旬はカンボジアのお正月期間。1月1日の新年と中国の旧暦正月も祝うカンボジアでは、俗にクメール正月と言われる。正月が3回来るカンボジアの国民にとって、自国本来のお正月である。

 今年は4月13日(金)が大晦日にあたり、14日(土)15日(日)までが正月休み。その後、振替休日で16日(月)、役所や会社によっては17日(火)までが正月休みの期間となる。

 PPWSAの上場予定日は、正月明けすぐの4月18日(水)。果たしてどのような形で初上場が実現するか、注目していきたい。