乾期も後半に差しかかり、一年のうち最も暑い季節に突入したカンボジア。今年3月末から4月頭にかけた5日間は、政治経済の面においても熱く盛り上がった期間となった。

プノンペンの王宮前広場には、胡錦濤中国国家主席の来訪を歓迎する大型ボードが(著者撮影)

 3月30日から4月2日にかけて、胡錦濤(フー・チンタオ)中国国家主席が、中国最高指導者としては12年ぶりにカンボジアを公式訪問したのだ。

 シハモニ国王やフンセン首相らとの首脳会談で、中国はさらなる経済援助や投資の拡大、関係強化の方針を確認した。

 それに続く4月3~4日の2日間、今年で20回目を数える東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開催。会場に選ばれたのは、今年から議長国となったカンボジアの首都プノンペン。

 主要議題の1つにならざるを得ない南シナ海領有権問題では、中国がベトナムやフィリピンなど一部ASEAN加盟国と火花を散らしている。また、急ピッチに民主化を推進しつつ、欧米からの経済制裁解除をにらみながら中国との間合いを計るミャンマーに対し、ASEANがどういう見解を表明するか。

 中国にとって、巨額な経済援助を背景に親密外交を続けるカンボジアがASEAN議長国である今のうちに、いろいろと打っておきたい布石がありそうだ。ある意味、分かりやす過ぎるタイミングでの中国国家主席のカンボジア単独公式訪問は、当然その思惑・シナリオに絡む推論をかき立てる。

 プノンペンを舞台とした中国とASEANを巡る国際政治のつばぜり合いが、新聞・雑誌の政治欄を一部にぎわしたこの数日間。時を同じくしてその裏側では、カンボジアとしては記念すべき初となる経済イベントが進行していた。

 過去2度の遅延を経て、昨年7月に“ハコ”だけ正式に発足したカンボジア証券市場(Cambodia Securities Exchange, CSX)。

 その初上場案件となるプノンペン上水道公社(Phnom Penh Water Supply Authority, PPWSA)の公募株式に対する、一般投資家向けの募集株式申し込みが、3月29日~4月4日に行われ、予定通り4月4日15時に締め切られた。

 それに先立つ2月24日(前後だったと思われる)、現地報道等の情報により、PPWSAの新規株式公開(IPO)に向けた投資家向けロードショーが、2月29日に開催されることがリリースされた。

※ロードショーとは、公開予定企業が株価決定前に機関投資家に向けて行う会社説明会のこと。