NHKの人気番組「白熱教室(ハーバード大学、スタンフォード大学、コロンビア大学)」でも、受講生の中で日本人らしき学生は見当たりません。放送を見ていて寂しさを感じます。
このような状況は今はそれほど大きく顕在化していないように見えますが、あと5年、10年もすれば諸外国のビジネスパーソンは学生時代に培ったグローバルネットワークを活用して、それこそ電話やメール一本でグローバルなビジネスをスピーディに展開していくでしょう。
その輪の中に日本人がいないとなると、これは国益にも大きなインパクトがあるのではと憂慮します。
もちろん受け入れ留学生が増え日本の学生が彼らと交流する機会が増えれば、国内にいても少なからず語学力や国際感覚は磨かれるでしょう。
しかし、異国の地で自身がマイノリティーとしてサバイバルすることに比べたら、メンタルタフネスやダイバーシティーの中でのコミュニケーション能力、そして先ほど触れたグローバルな人脈などを得るのは難しいでしょう。
グローバル人材ってどういう人材?
グローバル人材の育成については、実はかなり以前から政府の中でも各種委員会などを設けて議論されてきました。私もその経過については過去にさかのぼって資料を見る機会がありましたが、明確にグローバル人材について定義しているものは見当たりませんでした。
現在も、様々な方がグローバル人材に求められる能力などについて見解を示しています。そして、ようやく2011年になって文部科学省がグローバル人材に関する定義を策定しました。
それによると、「世界的な競争と共生が進む現代社会において、日本人としてのアイデンティティを持ちながら、広い視野に立って培われる教養と専門性、異なる言語、文化、価値を乗り越えて関係を構築するためのコミュニケーション能力と協調性、新しい価値を創造する能力、次世代までも視野に入れた社会貢献の意識などを持った人間」とあります。
私なりにまとめてみますと、(1)日本人としてのアイデンティティ、(2)言語的な壁を越えた協業能力、(3)公的精神に立脚した創造的課題解決能力、の3つの素養を兼ね備えた人物と解釈することができます。
