米アップルは13日、米国の非営利団体「公正労働協会(Fair Labor Association:FLA)」に加盟し、製造を請け負う工場や、部品を供給する取引先など、同社にかかわる企業の労働環境など監視していくと発表した。

 同時に初めて取引先のリストを公表し、同社のヒット商品を支えるサプライヤー企業の名前が明らかになった。

劣悪な労働環境を改善へ

中国で「iPhone 4S」発売めぐり大混乱、販売を一時中止

今年1月13日に「iPhone 4S」が中国で発売になると、大混乱になり店舗は一時閉鎖された〔AFPBB News

 スマートフォン「アイフォーン(iPhone)」やタブレット端末「アイパッド(iPad)」の製造を請け負っている台湾・鴻海精密工業傘下の中国・富士康科技(フォックスコン)では、2010年から10~20代の工員の自殺が相次ぎ、昨年は爆発事故も起きて多くの死傷者を出した。

 また今年に入ると工員が集団自殺すると富士康科技を脅す騒ぎもあったと報じられた。

 こうした劣悪な労働環境を巡っては、製造や部品供給の最終決断を行う立場であるアップルなどの企業側に社会的責任があるとして、米国の人権擁護団体などが非難していた。

 今回、アップルは初めて監査状況報告書を公開し、そうした批判に対応した格好だ。アップルによると、2011年は合計229の監査を行い、その結果、93の施設で半数以上の従業員が週60時間の労働時間制限を超えていたことを示す記録が見つかった。

 また108の施設で、法律で義務付けられている超過勤務手当を支払っておらず、15の施設では外国人契約社員が、職業斡旋業者に法外な手数料を支払わされていた。

 このほか環境汚染に関する問題も見つかっており、アップルは取引企業と協力して改善に取り組んでいくとしている。

企業ブランドのリスク低減図る

 アップルが加盟したFLAは、ビル・クリントン政権時代の1999年に、スポーツウエア大手の米ナイキなどが創設メンバーとなって発足した団体。

 米ブルームバーグによると、1990年代にナイキ製品の製造を請け負うアジアの工場で劣悪な労働環境が発覚し、米国で同社製品の不買運動が広がった。