米アップルのタブレット端末「アイパッド(iPad)」などを製造する中国の工場で爆発事故があり、死傷者が出たと報じられているが、その工場とは昨年、工員の自殺が相次いだ台湾・鴻海精密工業の施設だ。
爆発が起きたのは5月20日。場所は、鴻海精密工業傘下の富士康科技(フォックスコン)の成都工場(四川省)。
同社は当初、この爆発で2人が死亡し16人が負傷したとしていたが、22日になって死者数が3人になったと発表した。
爆発は研磨施設で発生
これまでのところ政府当局などによる調査で、研磨施設の導管内にたまった可燃性の粉塵が爆発したと見られており、同社は現在、同様の作業を行う全ての施設の操業を停止している。今後当局による詳しい調査結果を待って再開したい考えだ。
この施設はアイパッドの筐体背面のアルミニウム部分などを磨く作業を行っており、製品製造の最終段階を担っている。
同社は、ほかの部品の製造や組み立ては滞りなく進んでおり、生産全体への影響は限定的と説明している。
しかし最終工程がボトルネックとなることから、調査が長引けば世界の電子機器の供給に問題が生じる恐れがあると米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアは伝えている。
というのも、同社グループは世界最大のEMS(電子製品製造受託サービス)企業と言われ、アップルのほか、米デル、米ヒューレット・パッカード(HP)、フィンランドのノキア、ソニーなどの製品も製造しているからだ。
電子機器・部品の市場に詳しい米国の調査会社IHSアイサプライによると、富士康科技の成都工場ではアップルの最新タブレット端末「アイパッド2」を製造しており、操業停止状態が6月末まで続けば、約50万台のアイパッド2が製造できなくなるという。