アップルなどの多国籍企業の製造拠点が世界中で拡大する中、多国籍企業はサプライヤー企業に自社の行動規範を順守させるのが困難になるが、それを放置しておくと事態はさらに悪化する。
結果として、メディアに取り上げられ、その企業のブランドが傷つくことになる。そうした事態を避けるため、今回アップルはFLAに加盟したとブルームバーグは伝えている。
FLAによると、参加企業は自社のサプライヤーに対し、国連の国際労働機関(ILO)に承認された原則に基づく行動規範を順守させるべく働きかける。
その成果が出ているかどうかをFLAが独自に調査し、詳細をウェブサイトで公表する。FLAの厳しい監査の下、企業は自社のサプライヤーを指導していくというわけだ。
「企業名だけでは不十分」と人権擁護団体
なお、アップルは今回、状況報告の一環としてサプライヤー企業の社名も公表した。
同社の調達支出額の97%を占めるという156社のリスト(PDF書類)で、これには、ソニー、パナソニック、シャープ、東芝、NECといった大手メーカーのほか、アルミニウムのプレス加工の銭屋アルミニウム製作所(本社:大阪府池田市)や、水晶振動子を手がける大真空(兵庫県加古川市)といった企業の名もあり、高い技術力を持つ日本の中堅企業がアップル製品を支えている実態が明らかになったなどと話題になっている。
ただし、米ニューヨーク・タイムズは、人権擁護団体がこれでは不十分とし、依然としアップルを批判していると伝えている。
というのもアップルはこれら企業の名前しか公表しておらず、とりわけ、無名の小企業については工場の所在地が分からず、人権擁護団体などが調査できないという。
ただ同紙は、この人権擁護団体の幹部が「スティーブ・ジョブズ前最高経営責任者(CEO)時代の徹底した秘密主義を考えるとアップルは一歩前進しており、今後に期待したい」と話しているとも伝えている。
