政府の行政刷新会議による「事業仕分け」第2弾が4月23日に始まりました。

 それに先立つ4月8日、厚生労働省は事業仕分けへの準備として、診療報酬の審査や支払い業務を事実上独占している「社会保険診療報酬支払基金」(支払基金)と「国民健康保険団体連合会」(国保連)のあり方を見直す検討会を発足させました。

 医療費の窓口負担(約3割)以外の診療報酬は、医療機関が月に1回レセプト(診療報酬明細)を作成した上で、支払基金と国保連のいずれかの審査支払機関に請求します。これらの審査支払機関は不適切な請求がないかを審査したうえで、医療機関に残りの7割の診療報酬を支払うのです。

 検討会では、この診療報酬の支払い審査業務に伴う「手数料」(審査コスト)の高さが問題とされました。

 また、レセプトを審査して減額させる「減額査定率」は年に0.1~0.2%程度であり、金額にして200億円ほどしかありません。それに対してレセプトの審査料の総額は、1年で800億円に達します。実に減額査定額200億円のために800億円を使用している効率の悪さが問題となりました。

 しかし、医療に従事する側としては金額や効率の問題だけではなく、その背景まで突っ込んで議論してほしいと思うのです。

レセプト審査手数料は本当に高いのか

 まず、レセプトの審査コストは本当に高いのでしょうか。

 レセプトの審査コストは1枚につき約110円です、これに薬局分のレセプト審査コスト(約60円)が加わりますので、合計で約170円のコストが発生します。診療所の場合、レセプト1枚の平均(請求金額の平均)は8000円ほどなので、審査手数料だけで2.2%のコストが発生していることになります。

 国税庁が税金を回収する際に発生する徴税コストは100円あたり1.43円だそうです。つまり、1.43%のコストということです。それと比べると、単なるチェックだけで2%を超えるコストが発生しているのは、高いと捉えられてもやむを得ないのかもしれません。