14日のNY市場はユーロ売りが強まっている。特段理由も無かったが、前日の流れを引き継いだ格好。イタリア5年債入札が不調で落札利回りが過去最高となったことを材料に市場は懸念を強めた。更にメルケル独首相の議会演説から、ドイツが改めて強硬姿勢を堅持していることで、問題解決の糸口が見えなくなっているようだ。

前日はユーロが先行して売られていたが、きょうは豪ドルやカナダといった資源国通貨がより売られている。クリスマスを前に先行きへの不透明感を強めているようで、商品市場で金や原油が急落していたことが、資源国通貨の見切り売りに繋がったようだ。

ユーロドルは心理的節目の1.30をブレイクすると売りが加速し、一時1.2945近辺まで下落。また、豪ドル円も77円台前半、ユーロ円も一時101.10近辺まで値を落とす動きとなった。

◆例えドル買い優勢でも不透明感が強い状況では上がらない

相対的なドル買いの動きから、ドル円は底堅い展開となり78円台を回復している。しかし、そこからの上値追いは鈍く、ストップも観測されていた78.30水準にも届いていない。

欧州債務問題の世界景気への波及懸念は根強く、全体的にリスク回避の雰囲気が強まる中、例えドル買い優勢でも不透明感が強い状況ではドル円は上がらない。前日のFOMCは特に大きな変更は無かったが、欧州問題がこじれるようであれば、米追加緩和期待が常に付きまとう。

米金融緩和姿勢が転換しないうちはドル円の上値にはどうしても限界が生じる。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)