クリスマス休暇明け27日のNY市場は全体的に模様眺めの雰囲気が強く、小幅な値動きに留まっている。依然として欧州に対する不安感が根強く、イタリア国債の利回りが7%を上回る水準で推移したこともあり、ユーロは上値の重い展開も見られた。

23日時点のECBの翌日物預金残高も4118.1億ユーロと、今年最大だった22日時点の3469.9億ユーロを上回っている。銀行の資金の過不足は銀行間市場で貸借するが、貸し出せずに避難先としてECBに預けている証拠。依然として金融市場の信用不安は根強い。

ただ、イタリア国債利回りも一時7%を割り込むなど上げを一服させたことから、ユーロの下押す動きも限定的となり、ユーロドルは1.30台半ばでの膠着した動きが続いた。ユーロ円は101円台後半。
一方、ドル円も77円台後半での値動きに終始している。

この日発表になった米消費関連指標は強い内容となったが、反応は限定的。クリスマス明けで本調子とはならなかった。

◆アノマリー通りなら、為替の反応は?
市場は来年を占うといった雰囲気だが、来年の米国の最大のイベントは大統領選といっても過言ではないだろう。大統領選の年は株高という至って有名なアノマリーがある。過去のデータから概ね75%といったところだ。理由は多々あるだろうが、国民の人気を取るために様々な対策が候補者から打ち出され、それに対する期待感が浮揚することが要因の一つとして考えられよう。

もし、経験則通りにアノマリーが成立した場合、為替市場はどの様な反応を見せるのだろうか。直近では米株高=ユーロ高・ドル安という反応だった。教科書的には少しおかしな反応だとは思われるが、米投資家のリスク許容度が上昇し、海外志向が高まるためとも考えられる。

では、今回はどうであろう。欧州は緊縮財政から目先は景気後退が濃厚、更に財政再建は長期に渡る問題でもあり、これまで通りのユーロ高シナリオは描けそうに無い。一方で米雇用問題も簡単に解決しそうも無いことから、FRBがすぐに引き締めに転じるとまでは考え難いが、少なくとも追加緩和期待の後退は可能性がありそうだ。そうなれば素直にドル高というシナリオも想定される。

リスクシナリオとしては、米経済が欧州経済にカップリングしてしまうこと。さらに米国も政策は財政再建とセットで打ち出される必要があり、大盤振る舞いという訳には行かないことなどがあげられる。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)