23日のNY市場はクリスマス休暇で動意薄の中、ユーロの売りが優勢となった。この日発表なった米経済指標で個人消費は弱い内容だったものの、耐久財受注や新築住宅販売が底堅い内容だったことから、ドル買いの反応を見せている。一方で欧州懸念は依然として根強く、イタリア10年債利回りは警戒水準である7%を上回っている。

ここ数日、パターン化しているロンドン時間にユーロは上昇するものの、NY時間に入ると戻り売りに押されるという展開がきょうも見られた。ユーロドルは1.30台後半から下げてきたが、一方で1.30を割り込む動きまでは見られていない。ここ数日、1.30割れの失敗も続いていることから、下値に慎重になっている模様。ソブリン系のまとまった買いも1.3000付近には観測されている。後半は1.30台半ばに下げ渋る動き。

ドル円は狭い範囲ながらも上値を試す動きが見られた。しかし、米追加緩和期待後退とまでは行かない中、上値も限定的。結局、往って来いの動きとなっている。ただ、78.00の水準もサポートとして底堅さも見えた。

◆欧州銀への不安感は依然強い ECBの翌日物預金残は今年最高に
欧州銀のクレジットへの不安感は依然強いようだ。ECBによると前日22日時点の市中銀行によるECBの翌日物預金残高は3469.9億ユーロとなり今年最大となった。通常、銀行の資金の過不足は銀行間市場で貸借するのだが、貸し出せずに避難先としてECBに預けたともいえる。21日にECBは3年物資金供給オペを実施し、旺盛な需要から4892億ユーロもの巨額な資金供給を実施している。それにもかかわらず、欧州銀がECBに預けている面を見ると、依然として信用不安は改善していない様子も伺える。

きょうは3年物資金供給オペの支払いが銀行に対して実施され、銀行の保有する流動性規模は過去最高に拡大した模様。さすがに銀行間の短期金利もきょうは低下していたようだが、この先の動向は警戒される。

(Klugシニアアナリスト 野沢卓美)